女性にもっとも多いのはイボ痔
痔の中で最も多いのがイボ痔です。イボ痔は排便をするときに強くいきみすぎて肛門周辺がうっ血して起こります。うっ血を繰り返していると、そのうち肛門の組織が緩み出血が起こります。そして肛門の外にイボが出てしまいます。これがイボ痔です。イボ痔になると便が肛門に残っているような感じを覚えるようになります。
イボ痔の初期の段階ではイボはまだ肛門の内部にあります。内側が膨らんでいるだけで外には出てきません。少し進行するとイボが排便時に外に出てくるようになりますが、排便後には自然に元に戻します。更に進行すると自然には戻らなくなるので、指で押して戻さなければいけなくなり最終的にはイボが常に外に出た状態になり、指で押しても戻らなくなってしまいます。
病院で治療を受けよう
イボが排便時に外に飛び出す程度の軽度であれば軟膏を塗ったり処方された座薬を使うことで改善することができます。しかし自然に戻らなくなってしまうと手術で取り除かなければいけなくなります。早めに病院を受診することが大事ですね。
セルフケアで再発防止
病院で軟膏や座薬を処方されたら、同時に生活習慣を見直さなくてはいけません。食物繊維を多くとって排便の状態を改善したり、入浴時にお尻を温めるなどセルフケアを行わなくてはいけません。
激しい痛みのイボ痔に注意
トイレで強くいきんでしまうと、急性の血行障害が起こり激しく痛んで出血することがあります。これが血栓性外痔核や嵌頓痔核とよばれるものです。激しい痛みが合ったばあいにはすぐに病院を訪ねましょう。
排便時に違和感があったら、病院へ行こう
肛門の悩みは肛門科へ
肛門に痛みを感じたり、かゆみがあったり、排便時に出血があるなどお尻の問題を感じた時には、肛門科を受診しましょう。「痔」というと「おじさんの病気」と思われがちですが女性は生理があるので、ホルモンの影響で便秘をしやすいのです。便秘が続いて便が硬くなってしまい、肛門が切れたり痛くなることがあります。また拭き方が悪かったり、むれて過敏になるケースもあります。妊娠や出産でもお尻にトラブル意を起こしやすいのです。恥ずかしがらずにまずは肛門科で診察を受けましょう。
治療方法は症状によって違います
市販薬で様子見る場合には1週間を目途にしてください。1週間使って改善されない場合は、問題が別にあると考えられます。痔の場合には市販薬だけで改善されることもありますが悪化してしまうと手術が必要になることもあります。
手術によっては数日から数週間の入院が必要なこともありますから悪化してしまう前に「おかしいな?」と思った段階で治療を受けましょう。中には痔だと思って受診したところ、大腸がんだったということもあります。早期治療が大事ですね。
症状をチェックしてみよう
かゆみがある場合には肛門搔痒症、でっぱりや腫れはイボ痔や血栓性外痔核、肛門ポリープが考えられます。肛門の病気は様々なので、自分で判断するのは難しいです。症状が重たくなる前に肛門科で診断を受けましょう。
切れ痔・肛門周囲膿瘍・痔ろうはこうして対処
切れ痔の症状
切れ痔とは肛門の皮膚にできた傷のことをいいます。これは便秘や下痢が原因で排便の時に便が硬すぎて傷ついてしまったり下痢で何度も肛門を拭いたときに傷つけてしまってできるのです。少量の出血や排便時の痛みを伴います。ちょっと裂けた程度であれば自然に治癒します。しかし長期的に切れ痔を何度も繰り返していると肛門が狭くなってしまい排便障害を起こすこともあります。
切れ痔になったらどうする?
切れ痔になってしまったら、まずは様子を見ましょう。少ししても良くならない場合には肛門科で治療を受けます。同時に便秘や下痢にならないように腸内環境を整えるようにしましょう。肉類の食べ過ぎや香辛料の摂り過ぎなどを避けて食物繊維を多めに取りましょう。ヨーグルトなど乳酸菌を含む食材を積極的に取るのも効果的です。あまりにも悪化してしまった場合には手術が必要です。そこまで悪化する前に病院で早期治療に取り組むようにしましょう。
肛門周囲膿瘍・痔ろうの症状
肛門周囲膿瘍とは肛門のくぼみから細菌に感染することで周辺に膿がたまってしまう病気です。炎症を起こしているので、激しく痛み時には発熱を伴うこともあります。下痢を繰り返すことで肛門周辺が不衛生になっていることが原因になることが多いです。肛門周囲膿瘍を放置しておくと、痔ろうになることがあります。痔ろうとは膿瘍にできた膿の管がお尻の外側に出てしまったもの。イボ痔と似ていますが違う病気なので治療法が異なります。
肛門周囲膿瘍はどうすればいい?
膿瘍になってしまったら自然治癒は難しいです。薬を外側から塗っても効果はないからです。手術をして膿を取りださなければいけません。痔ろうも手術を受ける必要があります。症状が軽度の場合には日帰り手術もできますが重たくなると数日の入院が必要になります。
切れ痔で大出血した女性 M子さんの体験談
慢性の便秘で出血を繰り返していました
長年、慢性の便秘で苦しんでいました。下剤を使わないと排便できないレベルで、出たとしてもウサギのフンのようなうんちしかでません。常にお腹が張った感じで、排便をするたびに苦しんでいました。
ある日、排便をしたときに割けるような痛みがありました。そしてトイレットペーパーで拭いたときに、お尻に血が付いたんです。それからは排便するたびに軽い痛みと出血が起こるようになりました。しかし痛いのは排便時の一瞬だけですし、出血といってもティッシュに少しつくくらい。なので固い便で肛門が切れただけだし自然に治るだろうと放置していたんです。忙しいし、病院に行くのは恥ずかしかったんです。
突然の激痛を伴う出血で病院へ
最初の頃は出血や痛みに驚いていたのですが、1年もすると慣れてきて出血や痛みがあるのが当たり前になってしまいました。ところがある時、排便時に激痛が走り、大量出血してしまったのです。トイレから出ても痛みが続き、病院へ行くことにしました。病院はネットで口コミを調べて女性専門の肛門科へ行くことにしました。診察の結果はショックでした。切れ痔が進行し潰瘍になりポリープも出来ていたんです。治療はひとまず便を柔らかくする薬と傷の治療をする軟膏でポリープが良くならない場合には切除を検討するということになりました。
それからは今までの生活を深く反省し生活習慣を見直しました。外食を控え、ビフィズス菌入りのヨーグルトやサプリメントを積極的に取り毎日1時間のウォーキングを始めました。便秘が切れ痔の原因なので、便秘を改善しなければ何度も再発してしまうからです。努力の甲斐あって、傷もよくなり排便もスムーズになり症状は落ち着きました。ただポリープは手術で取り除くことになりました。もっと早くに受診していればよかったですね。
その他の肛門や大腸のトラブルあれこれ
肛門搔痒症
肛門搔痒症とは肛門付近が痒くなる病気です。原因は排便時の刺激や洗いすぎ、イボ痔などです。痒みの原因は様々ですが、市販薬や消毒では症状が悪化する可能性があります。かゆみがあるということは肛門に何らかのトラブルが起きているという証拠です。原因をはっきりさせるためにも肛門科を受診してください。
肛門ポリープ
肛門ポリープは長年切れ痔を繰り返している人にできるものです。肛門の内側にできてしまうできもの、大きくなると排便時に外に飛び出してきます。切れ痔やイボ痔などを伴っていることが多いので、その治療と同時にポリープも手術で切除します。
大腸ポリープ
大腸ポリープは大腸の粘膜にできる腫瘍です。放置しておくと大腸がんに進行することもあるので、発見されたらすぐに取り除く必要があります。自覚症状はないのが厄介で、出血して便に血が付いた場合には大腸ポリープの可能性があります。軽度の切れ痔だからと放置せずに、病院で診察を受けることが大切です。
大腸がん
大腸がんは大腸にできる癌です。血便が出たり、便が細くなったり、便秘と下痢を繰り返すなどの症状があります。大腸がんは早期発見の場合ほぼ100%完治します。しかし気づかずに進行することが多く女性のがんの死亡率第一位となっています。排便に何か異常を感じたら病院で検査を受けましょう。
肛門に優しい生活をしよう
下痢や便秘を繰り返すと肛門に負担がかかります。正しい排便習慣を身に着けるためにも、過度のアルコール摂取を控えたり運動をしたりマッサージをして排便習慣を整えましょう。乳酸菌を積極的に摂取したり、食生活を見直すことも大事です。