不妊症かもしれない…と思った時には
タイミングを計って性交渉を持ったにも関わらず半年繰り返しても赤ちゃんができる様子がない。この時は不妊症を疑ったほうが良いでしょう。
不妊の原因は?
不妊症とは避妊をせずに性交渉をしているのに2年経っても妊娠しないケースを指します。原因は女性だけではなく、男性にある場合も多いです。
WHOの調べによると、不妊症の原因は以下の通り。
- 女性のみに原因 41%
- 男性のみに原因 24%
- 男女ともに原因あり 24%
- 原因不明 11%
つまり、不妊症で悩むカップルのおよそ半数は男性にも原因があることになります。ですから、不妊症の治療は奥さん1人が乗り気でも上手くいきません。初診から夫婦二人揃って通院して、男性も協力しなければいけません。
夫婦二人で不妊症に取り組むということは、心理的なメリットにもつながります。不妊症を夫婦の問題として考えることで、原因追及もスムーズになりますし2人で乗り越えようと言う気持ちが生まれて、心理的な結びつきが強くなります。
機能性不妊と診断される夫婦が増えている
近年増えているのが、「原因不明 11%」に該当する人たちです。検査をした結果、双方に特に問題がなかったにも関わらずなぜか妊娠できない「機能性不妊」と診断される人が増えてきているのです。
正確には原因不明ではなく、現代医療では解明できていない部分が多く説明ができないというのが正しいのですが、諦める必要はありません。タイミング法や排卵誘発剤を使用することで妊娠できる可能性は十分にあるからです。
不妊症について正しい知識が大切
不妊症について間違った知識を持っている人も多いです。インターネットを見ても、科学的根拠のない不安をあおるような情報もあふれています。こうしたデマカセに振り回されることなく、不妊症についてよく学び正しい知識を身に付けましょう。
主な不妊原因 女性編
妊娠をするためには、排卵、受精、着床の3つが行われなければいけません。どこか一つに問題があると不妊症となってしまいます。
ストレスも原因になってしまう排卵障害
排卵障害は卵巣から卵子が排出される時に何らかの問題が起こってしまうというこのです。卵子が充分な大きさまで育たなかったり、排卵が行われなかったりします。
無排卵になってしまう原因は生活習慣の乱れや無理なダイエットなどもありますがストレスが原因になることもあります。排卵が正常に行われているかどうかは、基礎体温表をつけることでわかります。
きちんと26日~32日の間で低温期と高温期の二つに別れていれば排卵が行われている証拠となりますが周期がバラバラだったり、グラフが乱れているときには無排卵の可能性があります。
卵管障害と子宮着床障害
排卵がきちんと行われていても、卵管が癒着を起こして閉鎖していると卵子、精子、受精卵が卵管内を通過できないので、不妊症となってしまいます。卵管の癒着は下腹部の手術が原因で起こる可能性もあります。虫垂炎の手術をしたことがある、帝王切開をしたなどの経験がある人は疑わしいです。またクラミジアなどの性感染症が原因で卵管が癒着してしまうこともあります。おりものをチェックして、心配な要素があるときには婦人科を受診してください。
子宮自体に問題があるときも受精卵が着床できなくなってしまうので不妊症になります。例えば、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮奇形などが考えられます。
特に注意が必要なのが子宮内膜症です。子宮内膜症は20代の女性を中心に増えている病気で子宮内ではない場所に内膜を作ってしまうというものです。受精障害や卵管癒着などを引き起こす原因になります。生理が重たい、出血量が多い場合などは一度婦人科で検査を受けましょう。
赤ちゃんができても育たない女性もいます
受精卵が着床したにも関わらず、流産してしまう不育症・習慣流産で悩む人が増えています。
2回以上流産したことがある?
流産は10%の確率で起こるものです。10回妊娠すれば、1回は流産する計算になるので1回の流産は特に心配ありません。しかし2回、3回と続いてしまう場合には、不育症や習慣流産の可能性があります。
不育症は妊娠したにも関わらず流産や早産、死産を繰り返してしまうケースを指します。習慣流産は3回以上連続して流産したケースを指します。この二つのどちらかに当てはまる場合、妊娠がとても難しくなります。2回以上流産が起こってしまったときには、不妊外来で相談してみると良いでしょう。
不育症や習慣流産はなぜ起こるのか?
なぜ不育症や習慣流産が起こってしまうのか。このことはまだ研究が充分に進められておらず、医学的にも分からないことが多いです。このため病院でも原因不明とされてしまうことも少なくありません。
子宮奇形
生まれつき子宮奇形の場合、体質的に流産しやすいということになります。子宮の形というのは外から分かるものではないので、習慣流産で検査をしたときや内診、超音波検査で発見されるのが一般的です。
子宮頸管無力症
子宮口がゆるくなっていると、妊娠初期は問題ないのですが胎児が大きくなってくると支えきれなくなってしまい流産に繫がってしまうというものです。先天的に子宮口が緩いケースや、過去の妊娠中絶での頸管の損傷が原因になることがあります。
染色体異常
夫婦のどちらかに染色体異常がある場合、胎児もその染色体を引き継いでしまうため子宮の中で育つことができないケースがあります。ただし、毎回必ずダメということではないので、妊娠の可能性はゼロではありません。
HLA不適合
白血球の型分類(HLA)が夫婦で似ていると流産してしまうケースがあります。これは抗体が似ている胎児を母体が異物と誤認してしまうからです。自己免疫疾患を持っている場合にも、抗体指数が高くなり流産の危険性が高くなります。
黄体機能不全
排卵や着床に影響を与える黄体ホルモンがきちんと分泌されていないとき妊娠を維持することができずに流産に繫がることがあります。基礎体温をきちんとつければ、十分に分泌されているかどうかを確かめることができます。
二人目以降に起こる不妊もある
1人出産しているから、私は不妊症ではない。実は二人目の不妊で悩む人も少なくありません。
第2子不妊とは一体何か?
「そろそろ二人目が欲しいね」と子作りを再開したにも関わらずなかなか妊娠に至らないケースを「第2子不妊」と呼びます。
1度は妊娠して出産しているのだから、私たち夫婦は不妊には無縁だ。と考えるのは大きな間違いです。人の生殖能力というのは、変化するものだからです。
もっとも多い原因は加齢です。妊娠できるかどうかは年々確率が低下していきますから数年前に妊娠できたからといって、現在も変わらず妊娠できるとは限りません。特に女性の妊娠能力は男性よりも急激に低下していくのです。
また、出産後にホルモンバランスが崩れてしまう人も多く2人目ができにくい体になってしまうこともあります。体重の増加、ライフスタイルの変化、甲状腺機能の病気、糖尿病など様々な原因で第2子不妊が起こることもあります。
1人目がラッキーだっただけ!?
2人目が欲しいね、と夫婦生活を始めてみたものの、なかなか妊娠できない…そう悩んで不妊の検査を受けてみたところ実はもともと不妊症体質だったということがあります。
勿論、1度は妊娠して出産までしているのですから先天性の問題はないでしょう。しかし、もともと不妊症の原因になる症状があったにも関わらずいわゆる「ラッキー」で一人目を授かっていたというケースもあります。
一人目をすんなり妊娠出産していたのでまさかもともと妊娠しにくい体質だったとは考えません。
不妊治療は時間との戦いです。発見が遅れれば遅れるほど治療はどんどん難しくなってしまいますから二人目だから自分は不妊じゃないと妙な自信を持つのではなくなかなかできないなと思ったら早めに不妊外来を訪れたほうが良いですね。
主な不妊原因 男性編
不妊症の原因は女性にだけあるとは限りません。不妊で悩むカップルのうち約半数は男性にも原因があります。
男性不妊の原因ってどんなものがあるの?
女性の場合、毎月の生理がコンスタントに着ているかどうかなど妊娠しやすい体であるかどうか、兆候を自分で確認することができます。しかし男性の場合、なかなか自分が不妊かもしれないと思うことは少ないようです。男性不妊の場合、精子形成障害、精子通路障害、性機能障害など色々な男性不妊の原因があることが分かっています。
もっとも多い原因は?
男性の場合、もっとも多い不妊の原因は「精子形成障害」です。男性不妊で悩む人のうち9割がこの精子形成障害に当てはまります。
精子形成障害とは精子がつくられる過程に問題があるというもので精子の数自体が非常に少なかったり、精子が全くいなかったりというものです。原因の多くは不明ですが、精索静脈瘤が原因というケースもあります。
心因的な問題も大きい性機能障害
夫婦の性生活自体が上手く言っていないと、精子に問題がなくても妊娠できません。不妊に悩む3割のカップルが性機能障害が原因で妊娠できないということがあります。
勃起しない、途中で中折れしてしまうなどの問題はストレスや心理的なトラウマなどが原因で起こるケースが多いです。心理的な問題の場合には焦っても解決は難しいです。あまり肩に力を入れずにスキンシップから始めてみるとよいでしょう。
通路障害
精子が睾丸から出ているにも関わらず、排出するまでに途中で詰まってしまい外に出られなくなっているのを通路障害と呼びます。精管閉鎖や逆行性射精の可能性が考えられます。
精子の異常って何?
精子形成障害にも色々ある
精子形成障害とは、その名の通り、精子の形成に問題がある場合を指します。大きく分けて、精子自体に問題があるパターンと、精子の量が少ないパターンがあります。
精子自体に問題がある場合
・精子死滅症
精子の数はある程度あるものの、運動性が低いため受精できない精子ばかりの状態。
・精子無力症
死滅症ほどではないもの、7割以上の精子の運動性が低い状態。
・奇形精子症
精子の頭が二つあるなど、全体の6割以上に奇形が見られる場合。
精子の量に問題がある場合
・無精子症
検査した精液の中に、一つも精子がない場合。
・精子減少症
精子の量が平均の1/3以下しかない場合。
いずれも単独の症状であることもありますが、二つの症状を合わせもっていることもあります。例えば精子減少症の場合には精子無力症や奇形精子症を併発していることがあります。いずれも原因は染色体異常、停留睾丸、精索静脈瘤などになります。
精子通路障害とは
精子に問題がなくても、精子が通る道に問題があれば精子が正常に排出されず女性を妊娠させることができなくなってしまいます。たとえば逆行性射精、ヘルニアの後遺症、精巣上体炎、精嚢の炎症などが考えられます。生まれつき精管に異常があることもあり、治療できるケースと治療できないケースがあります。
現代病とも言える不妊症
精子形成障害のほとんどは原因不明と診断されます。これは環境ホルモンなどが影響しているとも考えられるため現代病の一種とも考えられます。この場合、効果的な治療法と言うものが存在しません。
健康的な生活を心がけて体質を改善するのが最適な方法と言えるでしょう。喫煙やストレスは精子の形成に悪影響を与えますから赤ちゃんが欲しいなら、今すぐ禁煙するくらいの決意が必要です。
目次 赤ちゃんがほしい。不妊の悩みを解決
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