不妊検査と治療でありがちな疑問
原因特定するまでにかかる期間はどれくらい?
不妊治療をするために病院へ行くとまず検査が行われます。検査は1種類ではなく、複数行われます。夫婦二人の検査が一通り終了するまでに大体2、3ヶ月はかかります。特に女性の検査には月経周期に合わせて検査を進めるためどうしてもこれくらいの期間がかかってしまうのです。パッと受診して、パッと検査結果が分かるわけではないのでこれくらいの期間はあらかじめ見積もっておきましょう。
どんな検査をするの?
基本的な検査は内診や基礎体温、精液の検査などです。この検査ではおおよその原因を調べることがでくるのでこの検査の結果次第で次の精密検査に進むことになります。精密検査は人によって異なりますが、詳しい原因の特定は精密検査をして分かります。
不妊の原因がわからないことってあるの?
検査をして、異常が見つかり治療ができる場合にはまず治療が行われます。しかしたった1回の検査で原因が特定できるとは限らないので場合によっては2回、3回と検査が行われることもあります。これは良心的な病院の証拠ですね。
もし検査をしても原因が特定できない場合(双方に特に異常がない場合)にはまず排卵日を特定してその日に性交渉を持つ「タイミング療法」から試すのが一般的です。カップルの年齢や体の状態にもよりますが半年程度、きっちりタイミング療法をためし、それでも結果が出ない場合には高度不妊治療に進むことになります。人工授精、そして体外受精です。いきなり高度不妊治療に進むケースはあまり見られず、この流れが一般的になります。
妊娠成功率ってあてになるの?
不妊治療を行うときに気になるのが「成功率」ですね。この病院を受診して、何組のカップルが妊娠できたのかというのは気になることだと思います。しかし妊娠できるかどうかというのは、カップルそれぞれ原因が違うことからあまり参考にならないというのが実際のところです。実際に妊娠できるのかという点と成功率はリンクしないのであまり気にしないようにしましょう。
不妊検査 女性の初診の流れ
まずは問診から
どの病院でもそうであるように、不妊治療でもまずは問診から行われます。問診票を渡されるので、そこの記入する形式で答えていきます。
聞かれる項目は以下の通りです。
- 夫婦の生年月日
- 初めて月経があった年齢
- 直近の月経開始日、月経周期
- 不妊治療の経験の有無
- 今までの妊娠、出産歴
- 中絶の回数
- 避妊期間
特に既往症や手術の有無は、不妊症の原因を特定するために必要な情報となります。記憶があいまいな時には困ることになるので、しっかり思いだして、事前にメモしておくと安心ですね。
基本の検査
次に血液検査と尿検査をして血液中や尿の中に含まれるホルモン量を測定します。同時に白血球の状態や肝炎、貧血などを起こしていないかなど健康状態もチェックされます。初診ではおりものの検査を行うこともあります。
内診
病院によっては、患者さんの心理的負担を考慮して初回には内診を行わないということもありますが、ほとんどの病院では初診で内診を行います。脱ぎやすいスカートを着用して、月経期間を避けて受診するようにしましょう。ムダ毛の処理もしていくと安心ですね。
内診で調べるのは、膣や子宮、オリモノの状態、卵巣などを調べます。これにより子宮の発達具合や子宮筋腫の有無など妊娠や出産を妨げる原因がないかを調べることができます。
今まで内診をしたことがないという人の場合、抵抗感が大きいかもしれませんが、今後不妊治療をしていく上で避けて通れないことです。リラックスして臨んでください。超音波を使って腹腔内の状態を診察する場合もあります。
不妊検査 女性の検査の流れ
検査は同時進行
初診で超音波検査、基礎体温、ホルモン検査などの大まかな検査をしたあとは、基本的に二つの検査を同時進行で行っていきます。
- 不妊の原因を調べる検査
- 排卵期を調べる検査
の二つです。何か異常が見つかった場合には、それぞれ精密検査へ進みます。
月経周期に合わせて検査する
不妊の検査は基本的に月経周期に合わせて行います。実際に排卵しているか、基礎体温が正常に推移しているかなどを調べなくてはいけないので1回検査を受けて、状況が分かるというものではなくだいたい不妊の原因を調べるのに2~3ヶ月かかると思っておきましょう。ドラマのようにすぐに不妊の原因が特定できるということはありません。
月経周期に合わせるため、チャンスは月に1回しかありません。仕事などで1回チャンスを逃すと、検査を受けるまでに1ヶ月かかるのでチャンスを逃さずに受診しましょう。
初めて病院に行くタイミング
病院に行くのは月経時以外なら大丈夫なのですがスケジュールに余裕があるのであれば、月経が終わったあとの低温期に行くのが良いですね。これは月経周期に合わせてスケジュールが立てやすくなるからです。病院によって検査内容は異なるので、気になるようなら受診のタイミングを病院に問い合わせておくといいですね。
基礎体温をつけておこう
不妊治療には基礎体温表が欠かせません。基礎体温をつけていると、月経の周期だけではなく、排卵の有無、時期、ホルモンのリズムなどが分かります。今まで基礎体温を付けていなかった人は、今後付けていく必要があります。既に付けているという人は、検査を受ける前に表を持参してください。
女性の不妊検査でやること
ホルモン検査ってどんなもの?
ホルモン検査で分かるのは、ホルモン数値、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群、排卵障害の原因などです。ホルモン検査は採血で調べますが、尿検査で行うこともあります。1回だけではなく、低温期、排卵期、高温期のすべての期間のホルモン量と変動を調べる必要があります。
低温期の検査
低温期(排卵日の前)に行う検査は、月経周期の2日~7日目に行います。卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)の値を調べます。この二つの数値が低い場合には、脳から卵子を作りなさいという指令が上手く出ていないことになります。中枢性の排卵障害と診断することができるでしょう。逆に数値が高すぎる場合も問題で、「卵巣性の排卵障害」となります。更にLHがFSHよりも高い場合には多嚢胞性卵巣症候群の可能性があると言えます。
高温期の検査
高温期(排卵後の期間)には、卵巣から分泌されるプロゲステロンやエストロゲンの数値を調べる検査が行われます。この二つのホルモンが低い場合いは、黄体機能不全(子宮着床障害)であると診断できます。テストステロン(男性ホルモン)が多い場合には多嚢胞性卵巣症候群の可能性があります。
超音波検査ってどんなもの?
超音波検査で分かるのは子宮筋腫や卵巣の腫瘍の有無、卵胞の大きさ、子宮内膜の厚さなどが分かります。超音波の検査はお腹の上にプローブという機械をあてて、卵巣や子宮の状態を調べるものです。また、細い管型のプローブを膣内に入れて調べるという方法もあります。体への負担が少ない安全な検査方法なので安心してください。
子宮卵管造影検査ってどんなもの?
子宮卵管造影検査では子宮の形状、卵管の癒着、卵管閉塞の有無が分かります。膣内にカテーテルという細い管を入れ、造影剤を入れたあとX線撮影をする検査です。造影剤が子宮と卵管に流れ込むので、きちんと道が通っているのかということが調べることができます。卵管が詰まっていたり、閉塞していると造影剤が届かないためX線に写らず異常があることが分かります。造影剤は腹腔内に流れ出て体内に吸収されるので健康に影響はありません。ただし、アレルギーがある場合には医師に伝えておくと安心ですね。
通気・通水検査ってどんなもの?
通気・通水検査で分かるのは、卵管の通過性です。子宮内に炭酸ガスもしくは水を入れて、圧力の変化を調べます。この変化のあるなしで、卵管の状態が確認できます。卵管が通っていれば注入された炭酸ガスや水が腹腔内に流れ出るため圧力は一定以上になりません。しかし卵管が通っていない場合には、腹腔内に流れ出ないので圧力が上がってしまいます。
頸管粘液検査ってどんなもの?
頸管粘液検査では頸管粘液の分泌量や排卵日の予測ができます。排卵前の警官粘液を採取して、量や色をチェックし、乾燥させたのち顕微鏡で観察する検査です。排卵前の場合には、綺麗なシダ状の血管が確認でき、排卵が終わったときには見えなくなります。
腹腔鏡検査ってどんなもの?
子宮内膜や卵管の癒着などの疑いがある場合に行われる精密検査です。お腹に小さな穴を数カ所あけて、そこから腹腔鏡を挿入します。癒着や子宮内膜症など、何らかの異常が見つかったときにはそのまま治療を行うことができます。
子宮鏡検査ってどんなもの?
内視鏡を子宮内に入れる精密検査です。子宮筋腫、ポリープ、子宮の奇形、炎症の有無などを調べることができます。小さなポリープならその場で治療を行うおともできます。
選択的頸管造影検査ってどんなもの?
選択的頸管造影検査では卵管の閉鎖箇所を特定するという精密検査です。膣に細いワイヤーとカテーテルを挿入して、直接卵管内に造影剤を注入します。患部が特定できたら、その場で治療することも可能です。この検査で治療を行うと、妊娠率が高くなるというデータがあります。
抗精子抗体検査ってどんなもの?
色々な検査をしたものの、特に異常が見つからない、というときに行われる精密検査です。血液から血球成分を除いた血清を観察します。抗精子抗体が高すぎる場合には、精子の運動を阻害してしまい受精能力がなくなってしまいます。早めに体外受精に切り替える方が良いでしょう。
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