離婚には3通りのパターンがあります。
1.協議離婚
夫婦同士で話し合いをして合意するのが協議離婚です。話し合いをして双方が納得すれば離婚できます。日本人カップルのほとんどは協議離婚をしています。調停委員の手を借りることなく、お互いの話し合いで離婚をしています。調停に進むのは約1割といったところです。
2.調停離婚
夫婦二人で話合っても、離婚の合意が得られない場合には裁判所へ行って調停をします。調停離婚は調停委員の交えて行う話し合いで、第三者が入ることでお互いに冷静になったり、法律的な意見を貰うことができます。あくまで話し合いなので、最終的にお互いの合意がなければ離婚ができません。
3.裁判離婚
調停離婚をしても、話が進まない、こう着状態にあるときに進むのが最終手段である裁判離婚です。裁判所の判断で離婚が決まります。配偶者が離婚の話し合いを突っぱねて、話にならないからと最初から裁判で話し合おうと考える人がいるかもしれません。しかしいきなり裁判離婚をすることはできません。まずは調停で話し合い、それでも決着がつかない場合にのみ裁判を起こすことができます。
4.その他
基本的に離婚するカップルの99%は上記の方法で決着をつけるのですが、他にも一部例外があります。例えば調停が不調になったときに成立する「審判離婚」や裁判の途中で相手の主張を全面的に認めて受け入れる「認諾離婚」、また夫婦双方の和解が得られれば「和解離婚」となります。
協議離婚ってどんなもの?
協議離婚はもっとも簡単で一般的な離婚の方法です。夫と妻の二人が話し合って合意によって成立します。
調停や裁判に比べると時間がかからずに離婚ができます。双方の合意ができさえすえば、明日にでも離婚が成立します。
しかし離婚に向けて話合うというのは、やはりなかなか冷静ではいられません。相手への不満、鬱憤などが爆発してしまったり、ついつい感情的になりがちです。しかし一時の感情に流されてしまうと、話し合いはなかなか進みません。特に話し合いだけで、財産分与や親権などについて話し合うのですから冷静に離婚条件について検討する必要があります。
配偶者の浮気で協議離婚をする場合に決める内容は以下の6点です
- 1.子供の親権はどちらが持つのか?
- 2.子供の養育はどちらがするのか?
- 3.毎月の養育費はどうするのか?
- 4.面会交流はどうするのか?
- 5.財産はどういう風に分けるのか?
- 6.慰謝料はどうするのか?
子供がいない場合には5番と6番の二つですが、子供がいる夫婦の場合には決めることが多いです。
「親権はどちらが持つか?」以外のことは離婚が成立したあとに話合ってもいいのですが、一度離婚してしまうと何度も話し合うために会うというのは現実的に難しいです。離婚する前に話し合っておきましょう。
話合った内容は、のちのち言った言わないになるのを避けるために、公正証書を用いて、しっかり確定しておきましょう。
協議離婚の届け出は、離婚届を提出することによって成立します。記入済みの離婚届を相手に預けてしまうと、気分が変わったからと、なかなか提出してくれないということがあるので、2通作成して双方が提出できるようにしておくと安心です。
調停離婚ってどんなもの?
お互いが子供の親権を譲らなかったり、配偶者との離婚の話し合いがなかなかうまく行かずにこじれてしまったとき。お互い感情的になってしまい、話し合いにならないとき。相手が有責にも関わらず離婚に応じてくれないときなどには、家庭裁判所に申し立てて調停を行うことになります。
また、裁判離婚をしたいときでも、法律で調停前置主義といって、必ず話し合いをすることが決められていますから、まずは調停で話し合わなければいけません。
調停とは紛争を解決するための制度で、調停委員が当事者の間に入って冷静に話し合うことを促し、時にはアドバイスをしながら合意による解決を目指すというもの。離婚の場合には「夫婦関係調整調停事件」となります。
調停に進みたいと思ったら、まず調停申立書を作成して家庭裁判所に提出しなければいけません。裁判所には調停申立書がありますし、インターネットでもDLすることができます。記載する内容は同居開始時期および別居開始時期、子供の有無、離婚の原因、親権はどうするか、慰謝料、年金分割についてなどです。書き方が分からない場合には、裁判所で問い合わせてください。法律について詳しい知識がなくても、記載できるようになっています。
配偶者からのDVで現住所を明かしたくないときには、申立て時に裁判所に言えば、相手に住所を知らせずに調停が行えます。
夫婦で収入に差が大きくあり、別居の際に十分な生活費を貰っていない場合には、婚姻費用の分担を求める調停も合わせてすることができます。
調停での話し合いは1回ではほぼ終わりません
今まで話がこじれて、お互いの主張が食い違っているのですから1回で双方納得とはいきません。一般的に3回~4回行われ、その間は1ヶ月~2ヶ月程度あきます。つまり調停離婚が成立するためには、申立てをしてから最低2ヶ月~長いときには1年近く掛かってしまうのです。また、調停にかかる時間は毎回2時間~3時間となります。
なかなか根気が必要になるので、調停離婚にすれば簡単に離婚が成立するとは考えないほうがいいでしょう。しかし時間をかけて頭を冷やすことで、冷静になれるので当事者同士で話し合いがこう着してしまったときには効果があります。
また、調停をしたものの、どうしても合意が得られない場合には、「不調」として調停が終わります。
調停では、調停委員という第三者が間に入ります。公平公正にお互いの主張を聞いてくれ、解決へのアドバイスをします。お互いに納得いく解決方法が見つかるように具体的な解決方法を提案します。
無事にお互いが納得できれば、調停調書が作成されます。これは確定判決と同一の効力を持っています。裁判で決められたのと同じ法的拘束力を持ちます。つまり、慰謝料は400万円でと合意して調停調書を作成したのに蓋をあけてみたら1円も渡さないということは許されません。裁判命令での支払いと同じだからです。
何度か話し合っても、解決策に合意できなかった場合には、調停不成立となります。それでも離婚をしたいなら、離婚裁判を起こして、裁判での離婚を目指すことになります。
まれに審判離婚というのもありますが・・・
審判離婚とは、あまり聞いたことがないパターンかもしれません。調停をしたものの、妻側と夫側で意見が食い違ってまとまらない時で調停が不成立になってしまった場合で、且つ家庭裁判所が相当と認めたときに行われるのが審判離婚です。これは審判と言う形で離婚に関する判断を行うというものです。
審判離婚は裁判所の職権において離婚を認める審判をするというもの。調停を行った結果、意見のズレがあり、話がまとまらないものの、夫婦関係が破たんしているから、この夫婦は離婚したほうが良いだろうと判断された場合に適応されるのです。
調停を行った結果に基づいて判断されるため裁判離婚よりも手続きは簡単ですし、速いです。しかも裁判と違って、審判手続きは一般に公開されませんから、夫婦の秘密が誰かに知られてしまうこともありません。
ただし審判離婚は裁判所が離婚を強要できるものではありません。夫婦のどちらかが審判離婚に異議を唱えた場合、審判の効力は発揮されません
このため、実務上あまり利用されない制度なのです。
お互いの意見がすれ違ったまま、納得して離婚とはならないため、現実的には調停で話し合いが終わらなかった場合には裁判所に離婚を求めることになります。
裁判離婚ってどんなもの?
夫婦間で話し合っても、離婚の話がまとまらなず、調停を行っても離婚の合意が得られない場合には家庭裁判所で裁判を行うことになります。
裁判離婚ではどちらか一方が離婚に合意をしていなくても裁判所が認めれば強制的に離婚を成立することができます。ただし、裁判で離婚するためには色々な申立書を作成したり、相手の言い分を理解する必要もあり、何かと手続きが面倒になるというデメリットもあります。
裁判離婚ができるのは、以下に当てはまった人だけです
- 1.調停を行ったけれども、離婚の合意ができなかった場合
- 2.離婚についての合意は得られているものの、財産分与などで両者の意見が合わない場合
- 3.相手の主張する離婚原因に納得ができず、自分の離婚原因で離婚を求める場合
民法では、離婚の原因として5つの事由を揚げています。しかしこの離婚原因が5つに当てはまったとしても、必ず離婚ができるというものではありません。裁判所は第三者として公正に、一切の事情を考慮して判断します。結婚を継続すべきと判断された場合には、離婚が認められないこともあるのです。
裁判離婚はだいたい1年くらいかかると覚悟しておきましょう。特に相手が離婚を拒否している場合、離婚原因を全面的に否定している時には更に裁判が長引くことも考えられます。勿論他の裁判と同じで裁判結果に納得ができなければ控訴することができますし、二審での判決でも納得できない場合には更に上告することができます。こうなると、とても長い時間がかかることになります。また、裁判になったものの途中でどちらかの気が変わって和解になった場合には、裁判離婚ではなく和解離婚と呼ばれるようになります。
調停での離婚例
結婚してすぐに単身赴任となってしまったAさん。奥さんはAさんと離れて暮らすことを最初は寂しく思っていたようですが、Aさんのお給料を管理し、自由に生活費を引き出せたことから、生活に不満はなく、離婚はまったく考えている様子はありません。
しかしAさんとしては、長期的に離れて暮らすことが当たり前になってしまったことで、夫婦としての関係に疑問を感じるようになりました。お給料も管理されているため、一生懸命働いていても月々の生活費もカツカツなありさまです。そこでまだ若く、人生のやり直しが効くうちに、新しく生活を始めたいと思うようになりました。
そこで弁護士に相談をしてみるも、相手は結婚生活に何も不満を感じていないため、離婚を求めても同意をしてくれるのは難しいだろうと言われてしまいました。裁判をしても、夫婦関係が破たんしているとは言い難く、特に離婚事由として認められるような理由もないため、離婚を成立させることもできないでしょう、となりました。
そこで離婚を成立させるために弁護士さんと考えたのが離婚調停で離婚をするという方法です。まず、Aさんの給与振込口座を変更し、Aさん自身で給料を管理することにしました。そして奥さんには適正な生活費を送金することにしたのです。奥さんは今までに比べて使える生活費が減ってしまったことに腹を立て、婚姻費用分担調停を申し立ててきたので、この申し立てがあった段階で、Aさんも離婚調停を申し立て同一期日で審理してもらったのです。そして弁護士さんがこの調停で早々に離婚したほうが、この夫婦双方にメリットがあるということを主張し、調停での離婚が成立したのです。
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