ピルが体に効く仕組み
ピルを飲むとなぜ避妊できるのか?
これはまず、なぜ妊娠するのかというところから始まります。卵巣から排卵が起こり、子宮内で卵子と精子が受精卵となり子宮内膜に着床すると妊娠の成立です。妊娠が成立している間は排卵が起こらないので、性行為をしたとしても改めて受精卵が作られることはありません。
ピルはこの時の状態と同じものを作り出します。ピルにはエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンが含まれておりこのホルモンを脳の視床下部が感知することで脳が妊娠中と勘違いします。それで卵子が排卵されなくなるのです。
ピルを飲むと生理が止まると勘違いされている人も多いですが、ピルを飲んでいても生理(出血)は来ます。
ただ、排卵されないのです。
ここで不思議なのが、排卵されないのに、なぜ生理は来るのか?ということです
低用量ピルは排卵を抑制しますが、子宮内膜を作る機能には作用しないのです。そこで21日間薬を飲み、7日間の休息期間に子宮内膜が更新され生理が起こります。
ただし、妊娠していると勘違いしていることから子宮内膜の厚みは薄くなります。このため出血量が減り、月経の負担が軽くなり、月経に伴う貧血も軽減されるのです。そしてこの子宮内膜が薄くなることで、仮に受精したとしても子宮内膜に着床しなくなるのです。
また低用量ピルを服用すると子宮の入り口にある頸管粘液の量を少なくし粘着性を高めることで精子自体が子宮に入りにくくなります。このような働きでピルを飲むと私たちの身体は妊娠しなくなるのです。
ピルの安全性・副作用について
避妊目的に処方されるピルは低用量ピルといって錠剤の中に含まれるホルモン量はかなり少なくなっています。
このため副作用も少なく、安全性に問題はありません。ピルが一般的に使用されるようになったのがアメリカでは40年も前のこと。日本で低用量ピルが認可されたのが1999年ですが大きな事故などは一切起きていません。
注意が必要なのは中高年になったときです。30代までは低用量ピルの服用が問題になることはありません。しかし中高年は血栓などのリスクが高くなるため、医師の慎重な診断が必要です。特にヘビースモーカーの方は要注意です。ただし、中高年以降閉経前になると月経周期が崩れホルモンバランスの乱れが更年期障害につながることもあり、この治療としてもピルが利用されますから中高年はピルを使えないということではありません。
勿論ピルを辞めたあとの妊娠・出産にはまったく影響がありません。低用量ピルを飲んでいたから不妊症になった、流産するということもありません。意外かもしれませんが、不妊治療にも低用量ピルが使用されることをご存じでしょうか?不妊の治療に避妊の効果があるあるピルが使われるのです。これは不妊の原因である月経周期の乱れをまずピルを使って整え、順調に生理が来るようにすることによって不妊を解消するというものです。低用量ピルは使用をやめるとすぐに妊娠可能になります。
少しでも使用に関して不安に思うことがあるようであれば婦人科でピルを処方してもらう前に良く質問をしてみて下さい。
【ピルのメリット】避妊以外にもいいことある?
ピルには避妊以外にもたくさんのメリットがあります。
月経周期が規則正しくなる
ピルを飲んでホルモンバランスをコントロールすることでダイエットなど様々な理由で生理が乱れていた人でも生理周期がきちんと整うというメリットがあります。
出血量が減少する
これによって月経痛が軽減されたり、月経前症候群も緩和します。貧血気味の人も出血量が減ることで症状が軽減されます。
ニキビや多毛症が改善する
どちらも男性ホルモンの過剰が原因で起こることがあります。ピルを飲むとホルモンバランスが整うためニキビや多毛症が軽減されるというメリットが起こるのです。
良性乳房疾患、子宮内膜症、子宮体がん、卵巣がんの発症頻度が低下する
長期間服用すれば、良性乳房疾患、子宮内膜症、子宮体がん、卵巣がんの発症頻度が低下するというメリットもあります。これは排卵による卵巣の損傷を減らすことで起こります。
ピルというと避妊のために飲む人が半数以上ですが実際に服用している人の残り半数は月経周期を安定させるためや月経前症候群(PMS)を軽減させる目的で飲んでいる人も多いです。
生理周期が整うので、生理日の移動も簡単です。旅行に行くときなど生理をずらしたいなと思ったらピルを使って生理の予定をずらすことができます。特定の相手がおらず避妊の必要がないときでも飲み続けるメリットはあります。
ピルを長期服用しても大丈夫?やめたときの反動が心配
日本はピル後進国と言われています。多くの先進国の女性は望まない妊娠を避けるために自分で妊娠と出産をコントロールするためにピルを利用しています。日本で低用量ピルが認可されたのが1999年。それから2016年の現在もピルを長期的に利用しているという女性は少ないです。これにはピルの認可が遅れたことと同時にピルに対する「偏見」が非常に強いからです。
ピルを使っているというと、ふしだらだという印象を持たれてしまったり、ピルを使うと太りやすくなるといったデマがあったり、副作用が強くて将来子供ができなくなってしまうのでは?と心配する人も多いです。でもピルはもっとも信頼できる避妊法なのです。
そもそも、なぜピルを飲むと妊娠しなくなるのか?それはピルに卵巣で作られる卵胞ホルモンと黄体ホルモンが少しずつ含まれていてこの二つの働きで卵胞を成熟させるホルモンの分泌を抑えるからです。これで排卵が止まるので、ほぼ100%の避妊ができるというわけです。そして、ピルを飲むのをやめれば再び卵胞を成熟させるホルモンが分泌されるようになるため大体3~4か月もすると妊娠が可能になります。長期的に利用したとしても、これは変わりありません。
むしろピルを使用しなかった結果、望まない妊娠をしてしまった時のリスクが大きいです。ピルを長期間服用しても副作用が残ったり、反動があるということはありませんから安心して利用してください。
ピルと鬱・ストレスは関係ある?ない?
ピルは妊娠の危険性を限りなく取り除いてくれる薬です。望まない妊娠をしてしまった結果、中絶と言う辛い選択をする女性を減らすことができます。また、決意や覚悟、経済的な問題など環境が整っていないまま出産してしまい、人生の計画が来るってしまう不幸なカップルと十分な愛情や教育を受けられない子供という不幸を回避させることができます。
性交渉はそもそも子供を作る行為です。しかしそれ以上にカップルが愛情を伝えあいコミュニケーションを取るための行為です。だからこそ望まない妊娠による不幸が引き起こされないように男性も女性も気を配らなければいけません。そこでピルという選択肢が出てくるのです。
しかしピルには「つわりに似た症状」が起こるという副作用があります。例えば軽い吐き気や不正出血などです。そして中には鬱っぽさを感じる人もいます。
ピルはホルモン剤です。ピルを飲むと体は妊娠していると勘違いするため排卵が止まります。この結果、軽いつわりのような症状を感じる人がいるのです。勿論副作用をまったく感じないという人のほうが多いのですが一部、重たい副作用を感じる人もいます。
もしピルを飲んだ結果、鬱っぽい症状があるとしたら副作用かもしれません。軽度の場合はそのまま様子を見てください。ピルの副作用は少しずつ軽くなります。身体がホルモンに慣れてくるからです。
症状がとても重たい場合には主治医に相談をしてみましょう。ピルの副作用の場合には別のピルに替えるという方法があります。またピルの副作用ではない場合には、心療内科へ行くべきか判断してもらえます。
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